「京の小袖」での雑感

先週は京都に出張してきました。
一泊二日でしたが、新しいご縁の方とお会いしたり、来春の新作の品物を発注したりと密度の濃い出張でした。
帰る前に空いた時間に「京都府京都文化博物館」で開催されている「京の小袖」という展覧会を見てきました。




安土桃山から江戸期にかけて作られた染織文化財が展示されていましたが、印象的だったのは仕事に息づく手作りの感じです。
当代では機械が発達し、人の手で全てを行うという事は極めて稀ですので、展示されていた染織文化財からは使われている糸、染料から刺繍、染色、製織に至るまで丹念な手仕事の風合いがありました。
見れば見るほどに奥行きがあり、引き込まれるものがあり、それは見事な品々でした。

と同時に何か自分の中に引っかかるものもありました。
今から考えれば凄い事でも当時としてはそれが当たり前だったのでしょう。
「様々な技術が革新されたという現代において、果たして進歩とは何なのだろうか?」と、呉服屋として「物創り」をしていく上で少し考えさせられました。

一通り展示物を見て、一休みと思って休憩室に入りましたが、何となく釈然とせず考えていました。
そうしている内に一歳半位の女の子がお婆さんと二人で入ってきました。
女の子と目が合ったので手を振ると、大層愛想の良い子で私の方にニコニコとしながら手と振り返したり、楽しそうにヨチヨチと歩いて近づこうとして来ます。
その様子を見て「色々と変わったかもしれないけれど、ここだけは変わらない。良いなぁ」と思いました。
同時に「人に備わっているものが変わらないのなら、やれる事もあるかな」とも思いました。

何気なく入った展覧会で小難しい事を考えました、色々と得る所がありました。